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高森明勅
2010.9.3 13:57

「宿敵」加藤紘一氏との対決?

次回道場のゲストは加藤紘一代議士。

加藤氏と言えば、ネット上で「江の傭兵」(かつての中国国家主席、江沢民の傭兵)などと悪口を言われていた河野洋平氏が政界を引退した後、自民党ハト派、リベラル勢力、親中派の第一人者と見られている人物。

今の自民党の谷垣総裁の親分にあたる政治家でもある。

そんな立場が隔たってそうな大物政治家が、世俗的には何のメリットもなさそうな、わが道場に参加してくれるんだから、有り難いし、今から楽しみ。

だが率直に言って、私にとっては、加藤氏は平成4年の天皇陛下ご訪中の時の内閣官房長官で、その張本人との印象が強い。

こう見えてワタクシ結構、執念深いかも。

ーー天安門事件からさほど月日が経っていない、血塗られた中国に、自由主義諸国はなお経済制裁を解いていない国際環境の中、他でもない天皇陛下にお出まし頂くとは何事!と当時、国内に、ご訪中反対の声が高まっていた。

日中両国政府による「天皇の政治利用」であることは、あまりにも明白だったからだ。

事実、当時、中国の外相だった銭其シン氏は後に、この時のご訪中が西側陣営の経済制裁を解除に向かわせる有効な突破口になった、非常に大きな政治的な成功だったと、自画自賛している。

その日本側の牽引役が加藤氏だった、ーーとの認識を私なんかは持っている。

その頃、「天皇陛下のご訪中に反対する国民委員会」という民間団体が結成されていた。

京都大学名誉教授の会田雄次(あの『アーロン収容所』の)をはじめ、シナリオ作家の石堂淑朗、作家のなかにし礼、落語家の春風亭柳昇、明治神宮の宮司福島信義、元オリンピック選手の渡部絵美など各界の諸氏百数十名が、賛同者に名を連ねた。

私もこの委員会の隅っこに関わっていた。そうしたこともあって、ご訪中への動きが進み、それへの反対が次第に高まる中、民間側3名の1人として、加藤官房長官と会う機会もあった(同年8月7日午後5時〜6時20分頃まで、異例の長さだった)。

あの件については、加藤氏はまさに「天敵」(ご訪中をめぐる経緯については『検証と総括・天皇陛下ご訪中問題』展転社、参照)。

その後、同氏の地元の山形県に講演で招かれた時、主催者から講演の中で加藤氏を褒めて欲しいと頼まれ、「それは無理。罵倒しないのがせいぜい」と答えた覚えがある。

ご本人とお会いするのは、官房長官時代以来で、私のことなどすっかりお忘れだろう。

今回は、道場の来賓としてお迎えするので、罵倒などしないのは勿論、くれぐれも失礼のないように配慮したい。

ただし、そうした私的な礼儀を尽くすことと、公論のための議論を遠慮したり、曖昧にするのは、全く別。

そこを混同してしまっては、本末転倒になろう。礼節を保ちながら、忌憚のない充実した討議の時間を持てたらと思っている。

……とか言いながら、借りて来た猫状態になるか、逆にいつかみたいに「キレ」たりしちゃったらどうしよう。

まぁ、どっちにしても当日は、笹さんの配下だから心配ないか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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